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量子力学の冒険(その13)

 現在2021年6月12日19時05分である。(この投稿は、ほぼ4405文字)

麻友「若菜や、結弦と、どうだった?」

私「その話もしたいけど、あの話に、決着付けよう」

若菜「核融合原子力発電所は、危なくない、という話ですね」

私「そう」

結弦「こういう場合、まず、核分裂原子力発電所の説明をして、ここが、危ない原因なんです、と話して、それでは、核融合は、と、話すよね」

私「そういうつもりで、いたら、いつまで経っても核融合に、辿りつけなかったんだ。だから、方針転換する。核融合の説明をする」

結弦「おー、ヒッポ流」

私「最初に種明かしします、は、お家芸だ」

麻友「ちょっと、その核融合っての、計算して見せてよ」

私「この参考書、436ページが、最後なんだ。ただ、434ページの下半分から後は、この章の要点をまとめた、最後のまとめだから、実質434ページで終わり。そして、核融合の話は、432ページから始まる。この3ページを理解すれば、核融合を実際やってみた、テイラー君には、かなわないけど、理論的には、分かるんだ。せっかくだから、式を写そう」



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 星の内部で起こっている一連の核融合反応のなかで次のような核反応がある。

{\mathrm{{}^1_1H+{}^3_1H \rightarrow {}^4_2He+20.7 MeV}}

 ここで、原子核の質量を比較してエネルギーを計算してみよう。

{\mathrm{{}^1_1H}}{\mathrm{{}^3_1H}}{\mathrm{{}^4_2He}} の質量はそれぞれ {\mathrm{1.0078~amu,~3.0170~ amu,4.0026~amu}} であるから、


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麻友「ちょっと待って、{\mathrm{amu}} って、何?」

私「この参考書古いから、単位も古いんだ。{\mathrm{amu}} って、陽子1個の質量と思って良い。正確には、{1\mathrm{amu=1.660~539~066~60(50) \times 10^{-27}kg}} なんだけど、現在では、{\mathrm{1u}} (いちユニット)と、表記することが多く、1統一原子質量単位ともいう」

若菜「えっ、それって、ダルトンじゃない?」

私「ダルトンって、何?」

麻友「あれっ? 太郎さん知らないの? 遅れてるー。今、生化学なんかでは、質量はダルトン{\mathrm{Da}})という単位で表すのよ」

私「え、完全にウラシマ太郎状態」

結弦「{\mathrm{1amu=1u=1Da}} だと分かると、一気に先が見えるね。陽子1個の質量って、どれくらい? お父さん、こんな質問されたら、答えられるの?」

私「馬鹿にするでない。まず、電子の質量は、暗記している。{m_{\mathrm{e}}=\mathrm{9.11 \times 10^{-31} kg}} くらいだ。そして、陽子の質量は、それの大体2000倍くらいなんだ。だから、大体、

{m_{\mathrm{p}}=\mathrm{9.11 \times 10^{-31} kg~\times~2 \times 10^3}}

{\mathrm{\approx 10^{-30}\times 2\times 10^3=2 \times 10^{-27} kg}}

ぐらい。有効数字一桁だけど」

若菜「合っているかは、見ていましょう」


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{(1.0078+3.0170)-4.0026=0.0222 (\mathrm{amu})}


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麻友「ちょっと待って。これ計算が合わないじゃないの。水素と3の付いた水素の合わさった重さが、{4.0248} なのに、ヘリウムになったら、少し軽くなって、{4.0026} になってるって、これでも、数学使ってるの?」

若菜「お母さん。そのボケ、アイドル時代を通じて、最高ですよ。今、核融合で、エネルギー取り出そうっていう話してるのに」

麻友「えっ、じゃあ、合っているっていうの、この式?」

結弦「2個、別々だったときより、一緒になると、軽くなるんだよ。この場合」

麻友「その場合、残りの重さは?」

私「それを、エネルギーとして、取り出して、それで、水を沸騰させて、蒸気タービンをまわして、発電するんだ」

麻友「じゃあ、重さが、消えるわけでは、ないのね」

私「うん。消えたように見える重さは、他のところへ行くだけだ」

若菜「どれだけ、消えたかを計算して、それから、どれだけエネルギーとして取り出せるかを、計算しようとしているんですよね。お父さん」


私「そうだ。ただ、分量からいって、今晩、今(21時37分)から、全部はできそうにない。そこで、今晩は、陽子1個の質量が、完全に消えたとき、どれだけのエネルギーになるかの計算をするところで、止めよう」

結弦「よーし、頑張るぞ」

若菜「陽子の質量ですけど、お父さんの

{m_{\mathrm{p}}=\mathrm{9.11 \times 10^{-31} kg~\times~2 \times 10^3}}

{\mathrm{\approx 10^{-30}\times 2\times 10^3=2 \times 10^{-27} kg}}

より、もうちょっと正確に、分かりません?」

私「じゃあ、理科年表見よう。

{m_{\mathrm{p}}=\mathrm{1.672~621~923~69(51) \times 10^{-27} kg}}

だ」

若菜「お父さんのも、桁は合ってましたね」

私「この参考書では、{\mathrm{1~amu=1.660 \times 10^{-27} kg}} になっている」

若菜「古くても、使い方が分かっていれば、学習できるんですね」

私「そういうことだな」

結弦「最後は、{E=mc^2} だね」

私「やって御覧」

結弦「光速度は、正確には、{c=2.997~924~58 \times 10^8~\mathrm{m/s}} (憎くなく不二子や1億人の美女が好き)だった。ここで、5桁使用して、

{E=\mathrm{1.672 \times 10^{-27} kg} \times (2.9979 \times 10^8 \mathrm{m/s})^2=1.672 \times 2.9979^2 \times 10^{-11}\mathrm{J}}

{=15.026 \times 10^{-11}=1.5026 \times 10^{-10}\mathrm{J}}

なんか、小さそう」

私「それは、陽子、つまり水素の原子核というものが、どれだけ小さいか、分かってないからだよ。原子核の直径は、{\mathrm{1fm=1 \times 10^{-15}m}} くらいだと、やっただろう。ミジンコや、新型コロナウイルスなんかより、遥かに小さいんだ。それが、普通の乾電池なんかより、エネルギー持ってたら、大変だ」

若菜「でも、普通、陽子の持つエネルギーなどは、{\mathrm{eV}} の単位で表しますよね」

私「そうだ。{\mathrm{eV}} という単位は、電子を、{\mathrm{1V}}(いちボルト)の電圧をかけて加速したとき、電子の受け取るエネルギーだ。だから、素電荷{\mathrm{e=1.602~176~634 \times 10^{-19}C}} だから、ボルトはそのままで、{\mathrm{1~eV=1.602~176~634 \times 10^{-19}~J}} なんだ。これは、{\mathrm{1~cal=4.2~J}} などより小さい単位で、この単位で測るには、結弦が、{E=mc^2} を用いて求めたエネルギーを、{\mathrm{1~eV=1.602~176~634 \times 10^{-19}~J}} で、割ればいい」

結弦「

{\displaystyle E=\frac{1.5026 \times 10^{-10}}{1.602~176~634 \times 10^{-19}}}

{\displaystyle =0.937~849 \times 10^9 =9.37 \times 10^8 \mathrm{eV}}

だ。小さくない。今度は。9億で、大きすぎる」

私「そこで、接頭語を付けて、表記する。{10^6} の接頭語は、なんだった?」

若菜「{\mathrm{M}} (メガ)ですね。そうすると、

{E=9.37 \times 10^8 \mathrm{eV}=937 \times 10^6 \mathrm{eV}=937 \mathrm{MeV}}

937メガエレクトロンボルトが、陽子1個の持っている、エネルギーすべてですね」

私「これを、陽子の静止エネルギーという。実際には、陽子を、完全に消滅させるということは、ほとんどできないことなので、ひとつの物差しとして、用いられているんだ」

麻友「一応、公約だった、陽子1個が、消えたときのエネルギー、計算したわね」

私「この{E=937 \mathrm{MeV}} っていうの、900くらいのメブだったな、というのだけ、覚えておいて」

若菜「もうちょっとで、核融合ですね」

私「昨晩、普通の乾電池、あたりまで書いて、22時半頃眠って、今朝7時23分に起きて、最後まで書いた。そんなに難しい計算ではないが、単位が新しくなっていたりして、結構大変だった。今回は、ここまでとする」

若菜・結弦「次回、期待してまーす」

麻友「お昼は、マックかな?」

私「そんなところだ。バイバイ」

 現在2021年6月13日10時15分である。おしまい。