場の量子論を制覇しよう!

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量子力学の冒険(その11)

 現在2021年6月8日19時10分である。(この投稿は、ほぼ3248字)

麻友「そろそろ、本、始めてよ」

私「この連載の第1回目は、ホップ、ステップ、ジャンプの、ホップだと言った。その後、ステップは、まだか、まだかと、待てど暮らせど、現れない。量子力学は、つまらない、なんていう言葉もあった。だが、第2回の、


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麻友「太郎さん。量子力学なんて、勉強しても、私達に取っては、役に立たないのよ」

私「それは、今日の、私の講義を聞いてから、言って欲しい」

結弦「おっ、強気の発言」


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                  (『量子力学の冒険(その2)』より)


という言葉を、反故にする、私ではない」

若菜「決着付けてくれるんですか?」

私「うん」

結弦「良かったー」

私「ここのところ、何日も、私は、『電子軌道』、『エネルギー準位』、『原子核物理』、などの言葉で、ググって、ネット上から、画像を、ダウンロードしていた。やっぱり、見せられるなら、本物を見せた方が、良い」

麻友「太郎さんは、書いているうちに、時間がどんどん経って、時間切れになり易いわ。どんなものを、ダウンロードしたか、見せてもらえない?」

私「まあ、前科があるから、従おう」



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麻友「うわっ、7枚。これだけ選ぶのは、簡単じゃないわね」

私「ただ、残念なことに、原子核の外にある、電子の軌道の絵は、沢山あるんだけど、原子核の中で、陽子と中性子が、どう結びついているか、という絵はなかったんだ」

若菜「見えない、ということですか?」

私「そうなんだ。『見る』という場合、通常、光を当てて、見るわけだよね。でも、子供が買える顕微鏡は、1500倍が、限度。これを、光学顕微鏡の限界という。更に、倍率を上げるには、フェムト秒分光学で話した、レーザー分光を、用いる。これでは、タンパク質や、ヘモグロビンなどの分子の動きを、スローモーションで見ることが出来る。だが、原子というものは、本当にあるのかと、問うなら電子顕微鏡を使う。これで、原子がここにある、という写真が撮れる。丁寧に言うと、イオン放射顕微鏡というもので、タングステンの原子が、ブラウン運動している写真が、『誰が原子をみたか』の巻末にある。1976年の本だから、今だったらもっと凄い写真が撮れるだろう。それでも、さらに原子の中を見て、原子核の周りを回っている電子を見るのに、電子は使えない。そうなると、もう、想像するしかないんだよね。傍証を積み上げて、こうなっているんだろうと」

江沢洋『誰が原子をみたか』(岩波現代文庫


麻友「そういうすべてに、シュレーディンガー方程式が、関わっているのね?」

私「実は、量子力学には、少なくとも4つの築き方がある。実際、私が、学生だった、1994年の段階で、そうだった。一つ目は、ハイゼンベルグ形式と呼ばれるもの。二つ目は、シュレーディンガー形式と呼ばれるもの。三つ目は、ファインマン経路積分法と呼ばれるもの。四つ目は、確率量子化と呼ばれるものなんだ。それぞれに、長所と短所があって、どれかひとつに絞ると、上手く行かない。ただ、シュレーディンガー方程式という言葉が、有名なように、シュレーディンガー形式が、一番計算しやすいんだ。ファインマン自身も、『ファインマン物理学』の第Ⅴ巻(量子力学)で、シュレーディンガー方程式を、用いて、説明している。自分の開発した、ファインマン経路積分法は、別な、

ファインマン/ヒッブス『(新版)量子力学経路積分』(みすず書房

という本で、紹介している」

結弦「一番新しい、確率量子化は?」

私「その存在を知ったのは、

江沢洋『物理学の視点──力学・確率・量子』(培風館

で、だった。その後、以下のモノグラフ(1つの分野に絞った研究論文)を手に入れた」

並木美喜雄(なみき みきお)『Stochastic Quantization(確率量子化)』(シュプリンガー


私「私の目論見としては、伊藤清の『確率論』を、読んで、確率を前面に出した、量子力学を、研究しようということだったのだ。

伊藤清『確率論』(岩波基礎数学選書)


一方、それを知っていたかどうか知らないが、栄信工業の先輩が、この本を読んでおくと良いよと、入社早々1998年に、以下の本を渡してきた。

科学シミュレーション研究会『パソコンで見る複雑系・カオス・量子―シミュレーションで一目瞭然!』(講談社ブルーバックス

私は、ブルーバックスなんて、お遊びだと思っていたので、2007年に退社するまで、1ページも読まないで、返した。だが、後に、この本は、確率量子化を、シミュレーションで体験する本だったのだと知って、申し訳なかったと、思った」


麻友「太郎さん。量子力学は研究中と、言ってるけど、もの凄く何度もアタックしてるのね。そんな量子力学に、私が付いて行かれるのかしら?」

私「麻友さんが言ったように、今日中に、課題を、解決できなかったね。一番、言いたかったのは、原子核の周りを回っている、電子が、軌道を変わるときに出す光が、X線で、このX線には、原子核を破壊するほどの力はないこと。一方、原子核の周りの電子でなく、原子核自体にある、ウラン235だったら、92個の陽子と143個の中性子が、くっついている。これが、壊れるときには、もの凄いエネルギーが、出る。このエネルギーが、光子として放出される場合、{\gamma} 線と言うのだけれど、それは、X線とは、比較にならないくらい大きいエネルギーを持っている。次に、その {\gamma} 線が、何かに吸収されるのは、やっぱり、原子核を壊してしまう場合だ。このように、核分裂原子力発電所は、万一爆発した場合、大量の、{\gamma} 線を出す、核の灰をまき散らす。ところが、一方、水素の核融合原子力発電所の場合、1箇所、トリチウムという放射性元素が、関与するのだが、その量は、核分裂原子力発電所放射性元素とは、桁違いに少ないんだ」

若菜「でも、広島型原子爆弾より、水素爆弾の方が、ずっと威力も強いし、それだけ、核の灰が、多い気がするけど」

私「ビキニ環礁で、水爆実験をやったときは、最初の点火のために、原子爆弾を使ったんだ。だから、あんなに被害が出た」

結弦「じゃあ、作っちゃった、原子力発電所は、どうするの?」

私「あれを、核融合原子力発電所に、作り直せばいいんだ。既に放射能が漏れないように、鉄壁の防御がなされているのだから、これは、使うべきだ」

麻友「太郎さんは、何でもなく言う。でも、いつも、光が見えているというのは、幸せを感じるわね」


若菜「この続きは、次回に。もう22時58分です」

麻友「おやすみ」

若菜・結弦「おやすみなさーい」

私「おやすみ」

 現在2021年6月8日22時59分である。