場の量子論を制覇しよう!

量子力学から始めて場の量子論までを制覇する試みです。ブログの先頭に戻るには、表題のロゴをクリックして下さい。

量子力学の冒険(その15)

 現在2021年6月16日19時38分である。(この投稿は、ほぼ2657文字)

麻友「入院しなかったわね。良かった」

私「もっと、心配しててよ」

若菜「渡辺麻友様は、お忙しいのですよ」

結弦「お父さん、振られたみたい」

私「そんな欠席裁判は、許さん」


麻友「太郎さん。冗談よ。ところで、この連載の(その11)で、沢山画像を用意してたのは、使わないの?」

私「使ってみよう。ところで、核分裂の式なども、書きたいのだが、一部に、こういうデータを利用して、核爆弾によるテロを計画しかねない人々がいるので、この反応で、どれだけのエネルギーが出るかなどのデータは、あまり公開されていないんだ。私は、原子核物理学のプロではないので、きちんとは分からないことは、白状しておこう」

若菜「確かに、それは、恐ろしいですね。ところで、この画像は、どういう画像ですか?」

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私「これは、主に、ヘリウムを念頭に置いて、描かれた絵だ。キティちゃんを使って、電子を表している。基底状態と書いてあるのは、ヘリウムの2個の電子が、どちらも、一番内側の、1s軌道にいる状態だ。ここで、光などが、光子としてキティちゃんに当たって、エネルギーを渡して、キティちゃんが、もっと外にある、{2p_x} 軌道などに移ることを、励起(れいき)されたという」

若菜「こんな絵もありますね」

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私「絵には描いてないんだが、重要なことを、説明しなければ、ならない。それは、電子が、取り得る軌道というのは、どんなのでも良いのではなく、今後出てくるだろう、固有値問題(こゆうちもんだい)というものの答えとして得られる、いくつかの特別なものだけなんだ。sオービタル、pオービタル、dオービタル、fオービタル、などは、その特別に選ばれた軌道なんだ。だから、上の絵や、次の絵のように、任意の半径の軌道が取れるように思うのは、間違いなんだ」

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若菜「おーっと、いきなり駄目だし。さすが、お父さん」

結弦「spdf軌道に関しては、スペクトル線って、何? って聞いたのに、答えてもらってない」

私「軌道が、原子核から遠ざかるにつれ、そこまで励起するのに、沢山エネルギーがいる。逆に、励起されていた電子が、元の下の軌道に戻るとき、励起するときもらったエネルギーを、光として、放出する。この放出される光の光子は、励起されていた軌道のエネルギーから、戻った先のエネルギーを引いたもので、軌道毎に、特別な振動数となる。エネルギー差が {h\nu} だから。従って、どの軌道から、例えば、下から2番目の軌道に戻るかで、次のような、幾つもの振動数の光が出る。この飛び飛びの光を並べて呼ぶとき、スペクトル線が得られる。などというんだ。

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若菜「お父さん。何事もなかったかのように、かわしていく。さすが、物理学に関してのプロ。次の絵は?」

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私「これは、そんなに、今必要な絵では、ないんだ。ただ、ちょっと、この絵に関して、思い出したことを話しておくと、レーザーというものを、今の子供達は、何でも無く、使っているよね」

結弦「ああ、レーザーポインターとかね」

私「あの、レーザーというのは、原理に、量子力学が、一枚咬んでいる。量子力学を勉強していくときの、楽しみのひとつに、取っておくと良いよ」

麻友「この絵は?」

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私「原子核の中の絵がない、と言ったのだが、こんな絵しか、なかったんだよ」

麻友「本当は、こうではないの?」

私「人の心というものが、陽子の中にあるのなら、こんな巨峰とマスカットみたいな粒じゃないと、私は思うんだ」


若菜「ちょっと、気になっているんですけど、お父さんは、どう答えるかな? と思って」

私「なんだい?」

若菜「陽子って、プラスの電荷を持ってますよね。確か、{\mathrm{e=1.602~176~634 \times 10^{-19}C}} だった。それで、プラスの電荷同士は、反発する。でも、元素の周期律表を、こう見ていくと、

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原子核に、いくつも陽子があるのに、お互い仲良く、みんな暮らしている。あのプラスの電荷による反発力は、どうなったのだろうと、化学の時間に疑問に思ったのです。お父さんは、高校時代、どう思っていました?」

私「そういう疑問は、私は余り、悩まなかったのだ。なぜかというと、陽子2個が、くっついた、{\mathrm{{}^2_2He}} というものは、ないんだ。必ず、陽子がくっついているときは、{\mathrm{{}^3_2He}} の様に、横に、中性子が、1つ以上いるんだ。私は、参考書や、理化学辞典で、徹底的に調べたから、それは、確実。そうすると、中性子が、間に入って、プラスの電荷による反発力を上回る、引力を、陽子と中性子との間か、何かで、働かせて、118番目までの元素でも、上手く原子核が、成り立っていられるようにこの世界はできているのだろうと、私は高校時代から、思っていた。湯川秀樹の中間子論のことなどは、大学に入ってから、知った事なんだ」

若菜「お父さんは、お父さんなりの理屈を、持ってたんですね。酸化銀と酸化銅の還元と酸化の話といい、脱帽です」

私「でも、疑問に思うのは、重要なことだ。本当は、若菜の今回の疑問は、戸塚区の汲沢に住んでいたときの、一緒に『解析入門Ⅰ』のゼミをやっていた、Tさんの高校時代の疑問だった。多くの人が、疑問に思うことなのだろう」


麻友「もう、22時45分よ。今日は、ここまでにしては? 色々分かったこともあるし」

私「それじゃ、解散」

若菜・結弦「おやすみなさーい」

麻友「おやすみ」

私「おやすみ」

 現在2021年6月16日22時47分である。おしまい。

量子力学の冒険(その14)

 現在2021年6月13日18時30分である。(この投稿は、ほぼ6250文字)

麻友「本気ね」

私「核融合原子力発電所は、危なくない、と、説明するのは、そう易しいことではなかった」

麻友「私が、分かるところまで、説明しようとするからじゃない?」

私「麻友さんが、分からなかったら、日本人のほとんどが、分かったことにならない」

若菜「お父さんは、ドラえもんで描けなかったら、駄目な人ですから」

結弦「夜空のお星様が、なぜ光っているのか? 2015年の付き合い始めたばかりの頃からの、約束だものね」

麻友「核融合って、お星様が、何億年も光っていられる理由か。なぜ、太郎さんが、こんなに本気になるのか、分かってなかった」


私「あっ、もちろん、エネルギー問題を、解決するために、全力を上げているんだけどね」

結弦「核融合の核反応。昨日、計算の途中だったけど」

私「そうだったな。



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 星の内部で起こっている一連の核融合反応のなかで次のような核反応がある。

{\mathrm{{}^1_1H+{}^3_1H \rightarrow {}^4_2He+20.7 MeV}}   (♯)

 ここで、原子核の質量を比較してエネルギーを計算してみよう。

{\mathrm{{}^1_1H}}{\mathrm{{}^3_1H}}{\mathrm{{}^4_2He}} の質量はそれぞれ {\mathrm{1.0078~amu,~3.0170~ amu,4.0026~amu}} であるから、


*******************************


と言って、


*******************************


{(1.0078+3.0170)-4.0026=0.0222 (\mathrm{amu})}


*******************************


という計算をした。消えた質量が、{0.0222 (\mathrm{amu})} ということは、{\mathrm{amu}} は、陽子1個の重さを単位にした質量だから、陽子1個の質量を、{\mathrm{MeV}} の単位で測ると、{\mathrm{937~MeV}} くらいだったから、参考書では、{\mathrm{937~MeV}} のところが、{\mathrm{931~MeV}} となっているので、


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{E=931\times 0.0222=20.66 \mathrm{MeV}}


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と、計算してあって、{937} でも、{20.8\mathrm{MeV}} と、ほとんど変わらず、大体、{20.7 \mathrm{MeV}}

で、(♯)の式の右辺が、確かめられた」


*******************************


{\mathrm{{}^1_1H+{}^3_1H \rightarrow {}^4_2He+20.7 MeV}}   (♯)


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麻友「えっ、この {\mathrm{20.7 MeV}} を、確かめるためだけに、この計算をしていたの?」

私「麻友さんに取っては、凄い計算だろうが、理論物理学者にとって、こんなの序の口だよ」

結弦「それだけ、理論的に予言できるんだね」

私「さて、この参考書、さらに読み進めるよ」


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[例] 太陽の物質には高温の水素({\mathrm{H}})やヘリウム({\mathrm{He}})があって,高速の陽子({\mathrm{{}^1_1H}}),重陽子({\mathrm{{}^2_1D}}) や{\mathrm{He}} 核がとびまわり,衝突して核融合反応を起こしていると考えられる。その反応式は

{\left\{ \begin{array}{l} \displaystyle

\mathrm{{}^1_1H+{}^1_1H \rightarrow {}^2_1D+e^{+}+0.93 MeV+\nu}   (♭-1)\\
\mathrm{{}^1_1H+{}^2_1D \rightarrow {}^3_2He+\gamma+5.5 MeV}     (♭-2)\\
\mathrm{{}^3_2He+{}^3_2He \rightarrow {}^4_2He+2{}^1_1H+12.8 MeV}  (♭-3)

\end{array}\right.}


(♭-1){\times 2+}(♭-2){\times 2+}(♭-3)

{\mathrm{6{}^1_1H \rightarrow {}^4_2He+2{}^1_1H+2e^{+}+2\nu +2 \gamma+25.7 MeV}}   (♭-4)

 整理して、

{\mathrm{4{}^1_1H \rightarrow {}^4_2He+2e^{+}+2\nu +2 \gamma+25.7 MeV}}

 ここで,{e^{+}}陽電子{\nu} :中性微子,である。電子の質量 {m_{\mathrm{e}}} をエネルギーに換算すると

{m_{\mathrm{e}}=9.11 \times 10^{-31} \mathrm{kg}=0.511 \mathrm{MeV}}

 また,中性微子の質量はほとんど {0} とみてよい。


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私「時代の移ろいを感じるのは、中性微子という言葉を、使っているところ」

若菜「小柴さんのカミオカンデの、ニュートリノですよね」

結弦「カミオカンデスーパーカミオカンデ、って、本当は、なぜ作ったの?」

私「クオークモデルがいうように、陽子が崩壊するかどうか確かめようということで、普通は見つけにくい、ニュートリノを、検出するために作ったというのは、本当なんだと思う。ただ、ここからは、私の想像だけど、スーパーカミオカンデって、あの中に、超純水(もの凄く綺麗な水)が、5万トンも、入っているのね。だから、地球に大きな隕石が衝突したり、核戦争が起きたりして、地上の水が、全部汚染された場合に、最後の水として、使えるかも知れない」

麻友「太郎さんは、そういう想像を、するんだ」

私「選択肢を沢山持っているのは、良いことじゃない?」

結弦「それで、先を知りたいんだけど」



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 [例] にあげたような核融合反応は、星の内部で行われるものであり,その反応速度も非常に遅い。しかし,実験室でも,これをヒントとして,もっと速い核融合反応を適当な原子核で,しかも適当な条件のもとで人工的に制御することが考えられる。

 現在のところ,採用できる熱核融合反応は


{\mathrm{{}^2_1D+{}^2_1D \rightarrow {}^3_2He+{}^1_0n+3.3 MeV}}   (1)

{\mathrm{{}^2_1D+{}^2_1D \rightarrow {}^3_1T+{}^1_1H+4.0 MeV}}    (2)

{\mathrm{{}^2_1D+{}^3_1T \rightarrow {}^4_2He+{}^1_0n+17.6 MeV}}   (3)

{\mathrm{{}^3_2He+{}^2_1D \rightarrow {}^4_2He+{}^1_1H+18.3 MeV}}  (4)


の4段階である。

 (1),(2)は、{\displaystyle \frac{1}{2}} の確率で起こり,D-D反応と呼ばれる。(3)はD-T反応と呼ばれる。{\mathrm{{}^2_1D}} は、{\mathrm{{}^2_1H}}{\mathrm{{}^3_1T}} は、{\mathrm{{}^3_1H}} と同じものである。


 (1)~(4)の反応を起こさせるには、ちょうど落ち葉たきをするのにマッチで火をつけるとき,しばらく火をつけたまま加熱しておかないとすぐに消えてしまうのと同様に,ある一定の時間の間,点火温度で保っておく必要がある。計算によると,経済的な要素も考慮に入れて,約{\mathrm{10^8~K}} 以上の温度で,D-T反応では {0.1} 秒,D-D反応では {10} 秒の間持続させることが必要条件になっている。この程度の温度では,物質はすべて電離してしまって高温プラズマのガス集団になる。プラズマは固体,液体,気体に次いで第4の状態といわれるのはそのためである。

[参考] 未来の核融合炉 {\mathrm{10^8 ~K}} のプラズマを入れる容器はどんな耐火レンガでも溶けてしまい,役に立たなくなる。プラズマは帯電粒子の集団であるから,適当な形の磁力線をした強い磁場を用いてうまく空間に保持することができそうである。もし核融合炉ができれば,強い磁場中で重水素プラズマやトリチウムの混合プラズマを燃料にして発電することができる。ただし、トリチウム放射性元素である。

 重水素は海水に含まれるのでエネルギー源としては無限に近く,また,核分裂の場合のような放射性物質の灰はない。しかし,いまのところ,次の諸問題が未解決のままになっている。

 ①プラズマ粒子を目的の温度まで加熱すること。

 ②プラズマ粒子を高温のまま必要な時間保持すること。

 ③高温プラズマからのエネルギー損失をできるだけ防止すること。


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       萩原茂夫『くわしい物理の新研究』(洛陽社)(p.p.432-433より)


麻友「えっ、これで、終わり?」

若菜「放射能のこととか、『トリチウム放射性元素である』だけしか、書いてない」

結弦「他に、放射性物質は、関係しないの?」

私「お前たちは、そんなことを、言うが、1989年、高校3年生で、将来物理学で、大発見をしようと思っていた私は、この『トリチウム放射性元素である』という言葉に、過敏に反応した。『核融合でも、放射線出るんだ。ガッカリ、ガッカリ』、それ以来、上に①~③と挙げてある、プラズマの課題も、研究しなかった」

麻友「そもそも、太郎さん。プラズマの本なんて、持ってるの?」

私「実は、1冊だけ持ってる」

リフシッツ/ピタエフスキー(ランダウ理論物理学教程第10巻)『物理的運動学』


 訳本


麻友「この訳本も、持っているの?」

私「横浜市立図書館に、1冊ずつある。貴重な本だ。洋書を読むとき、参考にさせてもらうつもりだ」

麻友「だって、太郎さん。まだ1巻も、読み切れてないものね」

私「ランダウ理論物理学教程、そろそろ、読み始めないと、ボケる前に読み終われない」

若菜「お母さんに説明するなんて、諦めたら?」


私「いずれにせよ、高校3年生だった、1989年から、32年経っているんだよ。プラズマの課題は、解決しているはずだ」

結弦「そうかもね」

私「あと、放射性元素だというトリチウム{\mathrm{{}^3_1T}})なんだけど、理化学辞典を引いたら、『発電用原子炉の中でも生成するが,その量は100万kWの原子炉1基につき年間 {1\mathrm{g}} 程度である』と、書いてあったんだ」

若菜「お父さん。安全だと知ってたんじゃない」

私「これは、麻友さんに会った後、シンガポールから、わざわざトントン工房に、来た人がいて、その人から、『核融合発電は可能ですか?』と、質問された。私は、『核融合でも、放射線は出るんだよ』と応じた。そのときになって、もう一度、あの参考書を見返した。そして、得意の理化学辞典で、『トリチウム』と、引いた。2018年5月28日19時37分46秒と、メモがある」

麻友「29年経って、核融合原子力発電、安全だと、気付いたのね。でも、福島第一原発トリチウムの汚染水、海に放出するってのは、どう思う?」

私「トリチウム半減期って、12.32年なのね。考えようによっては、かなり、のろい。しかも、ウランみたいに、核分裂して、トリウムになって、さらにパラジウムになって、ラジウムになって、・・・と、そのたびに、放射線を出すようなことはない。核分裂原子力発電所で、1年につき {1\mathrm{g}} だから、核融合原子力発電所でも、年間 {1\mathrm{g}} だなんて、安易には言えないけど、放射性廃棄物が何トンもコンクリートで固められて、それをどこに廃棄しようか、などとニュースになるような、みっともないことは、起こらないはずだ」

麻友「トリチウムの汚染水は、大丈夫なの?」

私「『放射性物質の入った水だ』という先入観と、『放射線を浴びたら、ガンになる』、という余りにも子供みたいな科学の知識しかない。広島の原爆を浴びた人達みたいなことは、絶対起きないし、それが、分かる程度には、科学を学んで欲しい」

若菜「でも、お父さんでも、29年かかって、気付いたぐらいなんだから、普通の人に、それを分かれっていうのは、無理です」

麻友「それより、一応、核融合の話を聞いたけど、あの、核反応の式、私読み方、全然分かってないわよ。核分裂の話と共に、聞きたいわ」

私「昨日、22時半頃まで、書いて眠って、今朝8時半から書いている。すでに、6094文字になっている。一旦投稿しよう。今日は、通院なんだ」

結弦「入院しそう?」

私「落ち着いているから、多分大丈夫でしょう」

麻友「じゃあ、行ってらっしゃい」

若菜・結弦「行ってらっしゃーい」

私「行ってくるよ」

 現在2021年6月14日10時00分である。おしまい。

量子力学の冒険(その13)

 現在2021年6月12日19時05分である。(この投稿は、ほぼ4405文字)

麻友「若菜や、結弦と、どうだった?」

私「その話もしたいけど、あの話に、決着付けよう」

若菜「核融合原子力発電所は、危なくない、という話ですね」

私「そう」

結弦「こういう場合、まず、核分裂原子力発電所の説明をして、ここが、危ない原因なんです、と話して、それでは、核融合は、と、話すよね」

私「そういうつもりで、いたら、いつまで経っても核融合に、辿りつけなかったんだ。だから、方針転換する。核融合の説明をする」

結弦「おー、ヒッポ流」

私「最初に種明かしします、は、お家芸だ」

麻友「ちょっと、その核融合っての、計算して見せてよ」

私「この参考書、436ページが、最後なんだ。ただ、434ページの下半分から後は、この章の要点をまとめた、最後のまとめだから、実質434ページで終わり。そして、核融合の話は、432ページから始まる。この3ページを理解すれば、核融合を実際やってみた、テイラー君には、かなわないけど、理論的には、分かるんだ。せっかくだから、式を写そう」



*******************************


 星の内部で起こっている一連の核融合反応のなかで次のような核反応がある。

{\mathrm{{}^1_1H+{}^3_1H \rightarrow {}^4_2He+20.7 MeV}}

 ここで、原子核の質量を比較してエネルギーを計算してみよう。

{\mathrm{{}^1_1H}}{\mathrm{{}^3_1H}}{\mathrm{{}^4_2He}} の質量はそれぞれ {\mathrm{1.0078~amu,~3.0170~ amu,4.0026~amu}} であるから、


*******************************


麻友「ちょっと待って、{\mathrm{amu}} って、何?」

私「この参考書古いから、単位も古いんだ。{\mathrm{amu}} って、陽子1個の質量と思って良い。正確には、{1\mathrm{amu=1.660~539~066~60(50) \times 10^{-27}kg}} なんだけど、現在では、{\mathrm{1u}} (いちユニット)と、表記することが多く、1統一原子質量単位ともいう」

若菜「えっ、それって、ダルトンじゃない?」

私「ダルトンって、何?」

麻友「あれっ? 太郎さん知らないの? 遅れてるー。今、生化学なんかでは、質量はダルトン{\mathrm{Da}})という単位で表すのよ」

私「え、完全にウラシマ太郎状態」

結弦「{\mathrm{1amu=1u=1Da}} だと分かると、一気に先が見えるね。陽子1個の質量って、どれくらい? お父さん、こんな質問されたら、答えられるの?」

私「馬鹿にするでない。まず、電子の質量は、暗記している。{m_{\mathrm{e}}=\mathrm{9.11 \times 10^{-31} kg}} くらいだ。そして、陽子の質量は、それの大体2000倍くらいなんだ。だから、大体、

{m_{\mathrm{p}}=\mathrm{9.11 \times 10^{-31} kg~\times~2 \times 10^3}}

{\mathrm{\approx 10^{-30}\times 2\times 10^3=2 \times 10^{-27} kg}}

ぐらい。有効数字一桁だけど」

若菜「合っているかは、見ていましょう」


*******************************


{(1.0078+3.0170)-4.0026=0.0222 (\mathrm{amu})}


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麻友「ちょっと待って。これ計算が合わないじゃないの。水素と3の付いた水素の合わさった重さが、{4.0248} なのに、ヘリウムになったら、少し軽くなって、{4.0026} になってるって、これでも、数学使ってるの?」

若菜「お母さん。そのボケ、アイドル時代を通じて、最高ですよ。今、核融合で、エネルギー取り出そうっていう話してるのに」

麻友「えっ、じゃあ、合っているっていうの、この式?」

結弦「2個、別々だったときより、一緒になると、軽くなるんだよ。この場合」

麻友「その場合、残りの重さは?」

私「それを、エネルギーとして、取り出して、それで、水を沸騰させて、蒸気タービンをまわして、発電するんだ」

麻友「じゃあ、重さが、消えるわけでは、ないのね」

私「うん。消えたように見える重さは、他のところへ行くだけだ」

若菜「どれだけ、消えたかを計算して、それから、どれだけエネルギーとして取り出せるかを、計算しようとしているんですよね。お父さん」


私「そうだ。ただ、分量からいって、今晩、今(21時37分)から、全部はできそうにない。そこで、今晩は、陽子1個の質量が、完全に消えたとき、どれだけのエネルギーになるかの計算をするところで、止めよう」

結弦「よーし、頑張るぞ」

若菜「陽子の質量ですけど、お父さんの

{m_{\mathrm{p}}=\mathrm{9.11 \times 10^{-31} kg~\times~2 \times 10^3}}

{\mathrm{\approx 10^{-30}\times 2\times 10^3=2 \times 10^{-27} kg}}

より、もうちょっと正確に、分かりません?」

私「じゃあ、理科年表見よう。

{m_{\mathrm{p}}=\mathrm{1.672~621~923~69(51) \times 10^{-27} kg}}

だ」

若菜「お父さんのも、桁は合ってましたね」

私「この参考書では、{\mathrm{1~amu=1.660 \times 10^{-27} kg}} になっている」

若菜「古くても、使い方が分かっていれば、学習できるんですね」

私「そういうことだな」

結弦「最後は、{E=mc^2} だね」

私「やって御覧」

結弦「光速度は、正確には、{c=2.997~924~58 \times 10^8~\mathrm{m/s}} (憎くなく不二子や1億人の美女が好き)だった。ここで、5桁使用して、

{E=\mathrm{1.672 \times 10^{-27} kg} \times (2.9979 \times 10^8 \mathrm{m/s})^2=1.672 \times 2.9979^2 \times 10^{-11}\mathrm{J}}

{=15.026 \times 10^{-11}=1.5026 \times 10^{-10}\mathrm{J}}

なんか、小さそう」

私「それは、陽子、つまり水素の原子核というものが、どれだけ小さいか、分かってないからだよ。原子核の直径は、{\mathrm{1fm=1 \times 10^{-15}m}} くらいだと、やっただろう。ミジンコや、新型コロナウイルスなんかより、遥かに小さいんだ。それが、普通の乾電池なんかより、エネルギー持ってたら、大変だ」

若菜「でも、普通、陽子の持つエネルギーなどは、{\mathrm{eV}} の単位で表しますよね」

私「そうだ。{\mathrm{eV}} という単位は、電子を、{\mathrm{1V}}(いちボルト)の電圧をかけて加速したとき、電子の受け取るエネルギーだ。だから、素電荷{\mathrm{e=1.602~176~634 \times 10^{-19}C}} だから、ボルトはそのままで、{\mathrm{1~eV=1.602~176~634 \times 10^{-19}~J}} なんだ。これは、{\mathrm{1~cal=4.2~J}} などより小さい単位で、この単位で測るには、結弦が、{E=mc^2} を用いて求めたエネルギーを、{\mathrm{1~eV=1.602~176~634 \times 10^{-19}~J}} で、割ればいい」

結弦「

{\displaystyle E=\frac{1.5026 \times 10^{-10}}{1.602~176~634 \times 10^{-19}}}

{\displaystyle =0.937~849 \times 10^9 =9.37 \times 10^8 \mathrm{eV}}

だ。小さくない。今度は。9億で、大きすぎる」

私「そこで、接頭語を付けて、表記する。{10^6} の接頭語は、なんだった?」

若菜「{\mathrm{M}} (メガ)ですね。そうすると、

{E=9.37 \times 10^8 \mathrm{eV}=937 \times 10^6 \mathrm{eV}=937 \mathrm{MeV}}

937メガエレクトロンボルトが、陽子1個の持っている、エネルギーすべてですね」

私「これを、陽子の静止エネルギーという。実際には、陽子を、完全に消滅させるということは、ほとんどできないことなので、ひとつの物差しとして、用いられているんだ」

麻友「一応、公約だった、陽子1個が、消えたときのエネルギー、計算したわね」

私「この{E=937 \mathrm{MeV}} っていうの、900くらいのメブだったな、というのだけ、覚えておいて」

若菜「もうちょっとで、核融合ですね」

私「昨晩、普通の乾電池、あたりまで書いて、22時半頃眠って、今朝7時23分に起きて、最後まで書いた。そんなに難しい計算ではないが、単位が新しくなっていたりして、結構大変だった。今回は、ここまでとする」

若菜・結弦「次回、期待してまーす」

麻友「お昼は、マックかな?」

私「そんなところだ。バイバイ」

 現在2021年6月13日10時15分である。おしまい。