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中国の成果を讃える

 現在2024年1月16日19時32分である。(この投稿は、ほぼ5466文字)

麻友「『量子力学の冒険』じゃ、なかった?」

私「量子力学の話をするのに、その使い道を、先に話した方が、面白いだろうと思って」

結弦「『量子力学の冒険』のレポーターの、お姉ちゃんは、どうするの?」

私「麻友さんは特待生で、優秀過ぎるので、お前たちは、ドンドン、湯川さんの愚問を、連発してくれ」

若菜「一応レポーターとして、話しておきますが、事の起こりは、一昨日(2024年1月14日)の、17時頃のことでした。なぜ、時間まで分かるかと言うと、お父さんが、次に述べるニュースを見て、これが、本当なら、凄いと思って、理科年表を調べ、主な放射性核種(放射性同位体)の表で、{{}^{63}\mathrm{Ni}} (ニッケル63)の半減期が、{101.2\mathrm{y}}(101.2年)と、確かめて、更に、壊変形式、{\mathrm{\beta^{ー}}}ベータ崩壊)と読み、そこに、2024.1.14 17:17:53 と、書き込んでいるからなのです。お父さんは更に、安定同位体の表で、{{}^{63}_{29}\mathrm{Cu}} も、チェックしています。2024.1.14 17:20:30 と、メモがあります」

若菜「ニュースとは何かというと、滅多に宣伝を載せない Google が、以下のニュースを報じたことです。リンクを張ると、切れることが多いので、コピペします」


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ニュース

充電不要スマホ実現へ。中国、50年間発電し続ける民生向け「原子力電池」を開発
劉 尭2024年1月12日 13:42
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製品化される原子力電池
 中国・北京貝塔伏特新能科技有限公司は8日(現地時間)、民生向けとしては初めて実用化できるレベルの小型化/モジュール化/低価格化を実現した「原子力電池(中国語では原子能電池)」の開発に成功したと発表した。この原子力電池は50年間の安定した発電が可能としており、充電、メンテナンスが一切不要。既にテスト段階に入っており、もうまもなく市場向けに投入できる。

 原子力電池は放射性電池などとも呼ばれ、半減期の長い放射性元素が放出するエネルギーを半導体変換器を用いて電気に変換する。米国やロシアなどでは開発が進んでいるのだが、宇宙開発などに使われている程度だった。

AIで記事を要約する(β)
 同社の原子力電池は初の民生向けとなっており、放射性同位体ニッケル63から発せられるベータ粒子を用いている。2枚の厚さ10μmの単結晶ダイヤモンド半導体でそのニッケル63を挟み込むモジュール構造を採用。モジュールとなっているため、数個もしくは数百個でユニットを作成し、直列または並列でつなぐことで、異なるサイズ、異なる出力を持つ電池を作成できるという。


原子力電池の構造
 最初の製品は「BV100」という名前で、世界初のコンシューマ向け原子力電池となる。電圧は3V、出力は100μWと小さいが、本体サイズはわずか15×15×5mmでコイン1枚よりも小さい。常に電気を発しており、毎日8.64J(ジュール)、毎年3,143Jのエネルギーを発することができる。

 2025年には1Wの製品を予定しており、法律および政策的に問題がなければ、「(事実上)永遠に充電する必要がないスマートフォン」や「(事実上)永遠に飛び続けられるドローン」も実現できるとしている。

 原子力電池は物理電池でも化学電池でもないため、リチウムイオン電池の10倍以上の容量密度を実現できる。1gの中に3,300mWhの容量を凝縮でき、発火しない、爆発しない、充電サイクルを持たないといった特性も持つ。さらに、周囲の環境や負荷による劣化も少なく、-60~120℃の環境で正常に動作し、自己放電も発生しないといった特性を持つ。

 また、外部に対して放射性物質を出すこともないため、人工の心臓や渦巻管といった医療機器にも応用可能。ニッケル63は壊変で最終的に銅の安定した同位体となり、一切の放射性を持たず、自然や環境への脅威にもならないとしている。

 今回の製品は原子力電池ならびにダイヤモンド半導体の2つの分野でブレイクスルーで実現したとして、欧米企業を「遥遥領先(圧倒的にリードの意、HuaweiのMate 60 Proの発表会で使われ、中国では一躍トレンドワードとなった)」したと謳う。PCT国際特許の取得を進めているほか、ストロンチウム90、プロメチウム147、重水素といった同位体を用いた電池の開発も進め、より高効率だが寿命が2~30年程度の原子力電池の開発も進めるとしている。

【17時14分訂正】記事初出時、半減期についての記述に誤りがございました。お詫びして訂正します。


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(ニュースはここまで)                 (以上。ネットニュースより)


若菜「普通、永久に持ちますとか、いつまででも、大丈夫ですという広告は、ウソばっかりです。そういう宣伝に慣れっこの人は、見過ごしたかも、知れません。お父さんが、気付いたのは、その前に、このやり取りがあったからでした。後で、読み返すときにでも、読んで下さい」


mayuandtaro.hatenablog.com


若菜「もう、これ以上、焦らすなと、お叱りを受けそうなので、本題に行きます。上の中国の原子力の、電池の記事を読んで、ポートの職員さんの、『原子力発電も、スマホサイズにできないか』という提案を考えていた、お父さんは、あれっ、と、思いました。『放射能が一切出ない、それで、発電?』怪しいですが、本文を読み進むと、高校レヴェルの前期量子論くらいしか知らないお父さんにも、納得できる説明になってる。そこからです、お父さんが、本気になったのは。ここからは、私では、話せません。討論にしましょう」


私「まず、ニッケルという元素が、原子番号何番なのか、知らなかった。ただ、ニッケル63というのだから、63というのは、陽子と中性子の個数の合計だから、原子番号30くらいだろうなと、考えた。銅の原子番号が、29なのは、知ってた。そうすると、ニッケルが、崩壊して、銅になるのは、そんなに有り得ない話ではない。ただ、放射能が一切出ないというのは、本当かなあ?と、思った。この場合、素粒子物理学の本を読もうと思っても、私には、まだ読めない。だが、武器は、あったのだ。学生時代、私に、和田君という友達が、『理科年表って、面白いよ』と、教えてくれて、ひとつ買った。1994年の理科年表、今でもある。その後、節目節目で、単位が変わったときなどに買って、6冊くらいある。そもそも、『ニッケル63は壊変で最終的に銅の安定した同位体となり、一切の放射性を持たず、自然や環境への脅威にもならない』なんて言うことは、どうしたらできるのか?」


麻友「そこを、聞きたい。気になってたの」

私「普通そうだな。私は、家にある最新の理科年表は、2022年のものであることが、分かっていたが、その2022年のものが、見当たらなかった。『差し当たって、半減期とかの数値が、大きく変わるはずがないからと、2021年の理科年表を、手に取った。まず、壊変系列図を、見てみる。放射性同位体というものは、ウランとか、ネプツニウムなどの、もの凄い原子番号の大きい(ウランは92)ものが、どんどん壊れて、その度に、放射能を出すのだ。でも、その表では、1番原子番号が小さいもので、80の水銀({\mathrm{Hg}})までしか、表が、なかった」

結弦「なかった? それ以下のは、崩壊しないと言うこと?」

私「そんな、はずはない。だって、遺跡の年代を測定するための、炭素14({{}^{14}_{~6} \mathrm{C}} )(読み方を書いておくと、左下の {6} が、陽子の数{=}原子番号、左上の {14} が、陽子の数+中性子の数で、普通、質量数という)などは、崩壊しているから、水銀未満が崩壊しないわけではない」

若菜「そうすると、原子番号が、銅の29の近くのニッケルも、崩壊し得る?」

私「当然だ。ところで、50年もつって、どういうことだ? 結弦が言うように、もの凄い触媒でも見つけて、黄金の減速材でも、見つけたのか?」

麻友「ふざけてないで、説明して」

私「理科年表の、おもな放射性核種の欄を見た。普通の人で、これを一発で、分かる人はいない。どういうことかと言うと、次の様な、数字の羅列で、意味不明な記号ばかりなのだ」


おもな放射性核種(放射性同位体)(2)

核種  半減期   壊変形式

{{}^{55}\mathrm{Co}}  17.53h   {\mathrm{EC},\beta ^{+}}

{{}^{56}\mathrm{Co}}  77.236d   {\mathrm{EC},\beta ^{+}}

{{}^{57}\mathrm{Co}}  271.74d   {\mathrm{EC}}

{{}^{58m}\mathrm{Co}}  9.10h   {\mathrm{IT}}

{{}^{58}\mathrm{Co}}  70.86d   {\mathrm{EC},\beta ^{+}}

{{}^{60m}\mathrm{Co}} 10.467m  {\mathrm{IT},\beta ^{ー}}

{{}^{60}\mathrm{Co}}  5.2712y  {\beta ^{ー}}

{{}^{56}\mathrm{Ni}}  6.075d  {\mathrm{EC}}

{{}^{57}\mathrm{Ni}}  35.60h  {\mathrm{EC},\beta ^{+}}

{{}^{59}\mathrm{Ni}}   {7.6 \times 10^4\mathrm{y}} {\mathrm{EC}}

{{}^{63}\mathrm{Ni}}   {101.2\mathrm{y}}  {\beta ^{ー}}

私「差し当たって、一番下の、ニッケル63を、見て欲しい。なんで、ちょうどこれが、一番下なのかって? 表は、下がもっとあるのだが、私が、{\TeX} で打つのが、疲れたので、ここまでしか、写さなかったというだけだ」

若菜「これ、どう読むのですか?」

私「{\beta ^{ー}} は、分からないにしても、{101.2\mathrm{y}} くらい解読しろよ」

若菜「101.2年? 百年くらいってこと?」

私「そう、半減期が100年くらい」

麻友「それって、良いことなの? 広島では、原爆が落ちて、放射能をまき散らして、いつまでも、いつまでも、残っているから、みんな苦しんだんじゃなかったの? 半減期が短い方が、良いんじゃない?」

私「私も、そう思っていた。福島第一原子力発電所のときも、一杯放射性物質が、出て、福島の人達が、なかなか帰還できなかった。そもそも、あのトリチウムで汚染されている水を、放出して良いのかどうかも、私は、分からない」

若菜「ですよね」

結弦「まあ、100年以上、ちょっとずつ減っていくから、50年スマホが動くってとこは、一応分かったけど、そもそも、この表は、どうやって、計算して、書いてあるの?」

私「多分、計算したんじゃない。実験で、計測してるはず」

麻友「でも、今、計算機が速くなっているはずだから、理論的に求めたのかも、これの根拠は?」

私「多分、論文が、引用されているはずだな。大勢の人が実験したものを、誰かの代表者の名前で書いてあるはず。ここだ

半減期と壊変形式は、National Nuclear Data Center, Brookhaven National Laboratory, Evaluated Nuclear Structure Data File (ENSDF)による』

となっている」

私「ごめん。もう0時51分でこれ以上は書けない。この後、塩田さんから、以下の質問を受けたことなどを書く予定です」


・そのニッケル63というものを、この地方でしか手に入らないというようなことは、ないのですか?

ナノテクノロジーの進歩


私「それでは、解散」

 現在2024年1月17日1時00分である。おしまい。

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